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最高裁判所第一小法廷 昭和27年(オ)4号 判決 1954年10月07日

東京都中央区日本橋小伝馬町三丁目二番地

上告人

水口物産株式会社

右代表者代表取締役

水口直忠

右訴訟代理人弁護士

鈴木喜三郎

同都千代田区丸ノ内三丁目一四番地

被上告人

社団法人東京商工会議所

右代表者会頭

藤山愛一郎

同所

社団法人東京商工会議所内

被上告人

上野十蔵

同所

被上告人

岸喜二雄

同所

被上告人

守随〓太郎

右四名訴訟代理人弁護士

松本烝治

岡田錫渕

下光軍二

常盤温也

右当事者間の決議無効確認並びに資格不存在確認請求事件について、東京高等裁判所が昭和二六年一二月二二日言渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があり被上告人らは上告棄却の判決を求めた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

原判決及び第一審判決を破棄する。

上告人の本訴請求を却下する。

訴訟の総費用は全部上告人の負担とする。

理由

職権を以て調査すると、本訴請求は、被上告会議所が昭和二五年六月二八日の議員総会においてなした会頭、副会頭、理事、監事等の役員選任の決議は無効であること並びに被上告人上野十蔵外二名は被上告会議所の副会頭でないことを確認するというのであるが、右確認を求める被上告会議所の役員は、すべて昭和二七年六月二七日までに辞任又は任期満了によつて退任し、その後は役員でなくなつたものであること明白である(なお定款三二条参照)。従つて、少くとも同日以後は本件確認を求める正当な利益を失つているので、本訴請求は本案につき理由の有無を調査するまでもなく却下さるべきものである。されば、前記決議は無効でない旨を判示し、本案に関する理由を以て上告人の本訴請求を棄却した第一審判決並びにこれを維持した原判決は失当であつて破棄を免れないものといわなければならない。

よつて、上告人の上告理由についての判断を省略し、民訴四〇八条、九六条、八九条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 真野毅 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

昭和二七年(オ)第四号

上告人 水口物産株式会社

被上告人 社団法人東京商工会議所

他三人

上告人代理人鈴木喜三郎の上告理由

第一点 上告人が原裁判所に於て本件問題の決議は憲法の規定尠くも憲法の精神に背反するから無效なりと力説したことに対し原裁判所は之を排斥したが右の原判決は明らかに憲法の法理を誤つた違法があつて到底破毀を免れ得ないものと為すべきである。

即ち

(イ) 原判決理由(判決正本九枚目表(五)の主張について)を閲するに曰く、「本件会員総会当時において被控訴人東京商工会議所の正会員の総数が三千八十八名であつたこと並びに右会員総会に出席した正会員が会員自身出席した者九十一名、代理人による者千三百七十八名合計千四百六十九名であることは当事者間に争いがない。

ところが前掲甲第一号証によると、本件会員総会において提案された役員選任の議決をなすに当つては、定款第十八条但書の規定によつて、いわゆる特別決議事項として、正会員の半数以上が出席して議決権を行使することを要することとなつていることが明らかであるから、前示出席会員数を会員総数に比して考えると、右定款の規定する定足数を欠如するが如くみられる。しかしながら前掲甲第一号証、成立に争いのない乙第八、九号証によると、被控訴人東京商工会議所においては、会費の滞納三箇月に及ぶ正会員に対しては議員総会の議決を経て会員権を停止することができるものとなつているが(定款第十一条、第二十四条参照)、昭和二十二年一月二十九日開催された議員総会において、会員権停止に関する事項を理事会に委任する旨の決議をなし、昭和二十五年二月十六日開催された理事会では、右決議による委任に基き協議の結果、二年以上にわたつて会費を滞納している会員六百八名に対し会員権を停止する旨の決議をなしたことが認められる。

従つて本件会員総会当時においては、正会員数三千八十八名の内、六百八名は会員権停止の結果、右会員総会に出席して議決権を行使し得る権限を有しなかつたものである。しかるところ前示定款第十八条但書に規定する定足数は、議決権を行使し得る権限を有する会員数を基準としてこれを定むべきものであるから、本件会員総会についても、会員総数の内から叙上の如く会員権停止の処分を受けた者を控除した上において、果して定款第十八条但書に定める定足数を充たしているかどうかを判定しなければならない。かく解するときは、本件会員総会に出席して議決権を行使し得る会員数は、総会員三千八十八名より前示会員権停止の処分を受けた六百八名を控除した二千四百八十名に過ぎないところ、右会員総会に自身又は代理人によつて出席して議決権を行使した会員数は合計千四百六十九名であるから、本件会員総会においては、定款第十八条但書に定める定足数を充たして余りあることが明白である。

控訴人は叙上会員権の停止は憲法第二十九条の精神に違背し無效であると主張するけれども、元来社団法人たる被控訴人東京商工会議所において会費滞納久しきにわたる会員に対し会員権を停止する旨を定款に規定することは、法人内部の規律を維持する必要上当然の措置であつて、しかも会員たるべき者は、右定款の規定を諒承の上、右会議所に入会したものと解すべきであるから同会議所が前述の如く定款に定めめている手続に従つて適法に会員権停止の処分をなしたものである以上、該会員権の停止なるものが、控訴人主張の如く、会員たる資格は存続せしめ、会員負担の義務のみを残留させながら、その地位に当然随伴すべき表決権の行使のみを停止するものとしても、何等憲法第二十九条の精神に背馳する処置ではないといわなければならない。従つて叙上の会員権の停止が憲法の条規に違反し当然無效であるとの控訴人の主張は理由がないばかりでなく、その他右会員権の停止が法律上当然無效であるとの法令上の根拠を見出すこともできない。この点に関する控訴人の主張は理由がない」と判定されたものである。然れども

(1) 社員権は一定の地位に在る者の権利義務の包括一体として存在する特殊の権利であり之を社員その人の身分に重きを置いて観察すると経済的方面即ち財産に重きを置くとを問わず一個の権利として憲法第二十九条の保障を享受すべきものたることは極めて当然となすべきである。

(2) されば右の地位を全面的に喪失せしむる事即ち除名等に拠つて権利義務を共に喪失せしめる事は法律又は定款等により(権利の濫用に趨る場合を除き)可能であろうが、その地位に伴つて存する義務のみを社員に負担させ、その地位に当然随伴する権利のみを剥奪すること、例えば弁護士会がその会員に会費の負担を命じ乍ら一面その議決権のみを全部又は一部(一時停止)剥奪する如き、或は又合名会社の社員にその出資義務のみを認め乍ら社員権の行使を剥奪するが如きは憲法第二十九条の規定又は尠くもその精神に牴触するものと謂わねばならない。甲第十二号証の公文書たる東京弁護士会の証明によつて明らかのように、東京弁護士会でも昭和二十三年十二月二十四日以前は旧法の時代に随い会員に会費の負担を命じ乍ら三月以上会費停滞した会員に対し選挙権、被選挙権を停止し来たが之を改正して前記同日以降苟も会員として会費を負担する地位を有する限りその地位に伴う選挙権、被選挙権を停止することを廃止したるが如き、正に公正妥当な処置であり世に顕著な出来事である。之を本件に想到する時、原判決の憲法上の誤謬は寔に明白なものありと為すべきである。

(ロ) 凡そ上告人(上告人と同様の地位に在る会員は総べて)は被上告人社団法人東京商工会議所の会員(社員)としてその会費を納入し、その他その地位に伴う義務を負担すると共に法令並びに定款の規定に拠つて享受する所の権利を有し、此の権利は憲法に所謂一種の財産権として憲法上の保障を受け、公共の福祉に反せざる限り濫りに侵害せらるべきものでないことは多く喋々を須いる迄もない処である。本件当事者間成立に争なく且つ原判決援用の甲第一号証被上告人社団法人東京商工会議所の定款第十八条に拠れば東京商工会議所の役員選任は所謂特別決議事項として総会員の半数以上が出席しなければ総会の構成を欠き、又同定款第十七条と民法に拠ればその目的事項(右第十八条が特別規定たることに鑑み之が省略を許されない)を総会開会の五日前に各会員に通知し始めて為し得べきものであり、之に反した決議に対しては会員はその無效を主張して新に正当な役員を選任し得る議決権を有するものと為すべきこと極めて当然の理路というべきである。

然るに此の点に関する原判決理由を閲するに(原判決正本五枚目表)曰く、「本件会員総会招集の通知に、被控訴人東京商工会議所の役員の選任に関する件が議題として記載されていなかつたことは当事者間に争いがなく、原本の存在並びに成立に争いのない甲第一号証によると、右会議所の定款第十七条には、会員総会を招集するについては会議の目的事項を示して通知を発すべきものなる旨規定されていることが認められるから、本件会員総会は、役員選任についての議決に関する限り、会議の目的外の事項につき決議したことに帰するとともに、右総会の招集手続にも定款の定めに違反する瑕疵ありといわなければならない。

よつて叙上の如く瑕疵ある招集手続の下に開催された会員総会において会議の目的外の事項についてなされた決議が法律上当然無效となるものであるかどうかについて考える。

右会員総会は民法に定める社団法人の社員総会に該当するものであるが、民法は社員総会の招集に関して、第六十二条に、会議の目的たる事項を示してこれを招集すべき旨を定めるとともに、第六十四条には、総会は予め通知した事項についてのみ決議をなし得る旨が規定されているにとどまつて、該法条に違反して招集された社員総会の決議の效力については、民法には何等定めるところがない。惟うにかかる決議の效力を全面的に否定し去ることは、いたずらに手続の繁瑣と社団の紛争を招来し易き結果となるから、にわに首肯し得ないところであつて、結局は招集手続の瑕疵の種類、程度その他総会における提案並びに決議の方法等諸般の事情に照して、法が総会を通じてする社員(本件においては会員)の社団管理の権限を確保しようとした趣旨を著しく没却することになるかどうかによつて判断することが妥当であると解する。

これを本件についてみるに、前記会員総会の招集通知には、会議の目的事項として、「五、その他」なる記載のあつた事実(当事者間に争いなし)及び右会員総会には会員の過半数が出席したものである事実(後段(五)の認定参照)を前掲甲第一号証、原本の存在並びに成立に争いのない甲第三号証、成立に争いのない乙第一号証の一、四、五、同第三号証の四、原審証人藤岡清則、木村英雄、野沢一郎の各証言と併せ考えると、本件会員総会において緊急動議として上程された役員選任に関する提案について、役員の選任を議員総会に委任する旨の決議をなした事情は、先きに昭和二十三年二月二十五日開催された第二回会員定時総会において、その招集通知に議題として記載されていなかつた役員選任に関する事項が緊急議案として提案議決された先例にならつたものであり、従来も招集通知に記載されていない事項について会員総会においてこれを審議可決した事例も多かつたので、かかる事情をも考慮して本件会員総会の招集通知にも議題として「五、その他」と記載して、当日議場において緊急動議によつて、通知された事項以外の事項についても上程決議することのあるべきを予め示してあつたものであつて、従つて本件会員総会には会員の過半数を占める千四百六十九名が出席して緊急議案として上程された役員選任の議題について審議の結果格別異議を唱える者もなく、役員の選任を議員総会に委任する旨の議案が可決されたものであるが、その席上には当時控訴会社の副社長であつた水口直忠(現在控訴会社の代表者)も立会つていたけれども、同人は事業関係について一、二発問をなしたにとどまり、役員選任の件に関しては特別に発言をしなかつたものである事実を認めることができる。該認定を覆すに足る確証はない。

叙上の事実に基いて、招集手続の瑕疵の種類程度その他総会における提案並びに決議の内容、方法等諸般の事情から考えてみると、本件会員総会の右決議は、会員が総会を通じてなす社団管理の権限を確保しようとした法律の精神を著しく阻害したものとは認められないから、これを無效とすべき根拠に乏しいものといわなければならない。この点に関する控訴人の主張は理由がない」と判定されたが、右は明らかに違憲と謂うべく、尚

A 被上告人社団法人東京商工会議所は終戦後昭和二十一年十二月二十日の認可によつて成立したものであり、旧時代の東京商工会議所とはその本質を異にしたものなる事は甲第一号証定款第一条に示す通りである。而して昭和二十三年中に為された役員選挙は当時業界も未だ混沌時代であり役員選任の事に意を払うような実状でなかつたのでその間何の留意も争もなく経過したので之を以て前例又は慣例の如く做した原判決は被上告人東京商工会議所の成立の時期並びにその経過に関し毫末の検討を加えず調査も遂げずして漫然為した誤謬の判定と謂わねばならない。

上告人が力説した処は上告人初めその他各会員の有する実体的重要の社員権に相関する事項であり原判決の観るが如き通知の手続とか期間の過短という形式的の事柄を攻撃するものではない役員選任という重要な事項でありそれが特に定款によつて定められた特則之を基本として各会員の有する重要な議決権に直接相関する権利の蹂躪乃至其の侵害を主張し、憲法上の保障を楯に之が救済を求むるのが本件の内容である。されば原判決は此の点でも憲法上、上告人に賦与された権利を蹂躪して省みない違憲ありと為すべきである。

B 甲第九号証の総会の目的事項中「その他」とあるが故に右は無制限でどんな事でも為し得るように解する事は甲第一号証定款第十八条の特別決議事項と、之と不可分的重要関係の定款第十七条に拠つて各会員の有つ権利即ち、社団法人東京商工会議所から通知を受くる権利、而して之が通知を受けたる事項についてのみ議決すべきものたる事、之を上告人等会員からすれば右の範囲を逸脱して議決をなしその反面各会員が憲法上保障されている財産権を東京商工会議所が濫りに侵害し能はない事、換言せば上告人等に保障された権利は消極的に確保されるものである事を基礎とするものである故に之に反した原判決は結局憲法違背たるを免れないものといわねばならない。

C 会議の目的事項に「その他」と表示してある故何事をも議決し得るものとなした原裁判所は改正民法第一条を無視し、その範囲会員の社員権を蹂躪することを是認する結果を招来するもので前述憲法の正面、尠くもその精神に牴触するものと為さねばならない。蓋し斯の如き行動と決議とを有效とせんか、或目的を達成せん為特に重要な目的事項を総会の通知状から除外し、会員をして事業報告決算報告又は之に関連する事項に過ぎざるものの如く認識させ、総会の議場に於て突如緊急動議として特別決議に属する重要事項を提案し、会員、特にその議案ならば反対意見を有する会員の欠席に乗じて之が目的を達成する不当な結果を招来する事となる故、司法正義の為にも原判決の右の誤謬は之を是正するの要ありと為さねばならない。

D 上告人が憲法に保障された上告人(同一の地位に在る会員は同様)の権利が蹂躪された理由の一つとして本件(甲第九号証)第四回定時総会即ち、昭和二十五年二月二十四日開催の会員総会の目的事項には役員選任の件を議題とせずして(原判決認定の通り)蒐集した委任状による代理権は其の目的事項に限局され、右目的とは全く懸け離れた無関係の、而も特別決議事項である役員選任の如きは右代理権授与と代理権受権から考察してドンナ角度から観ても其の代理権の範囲外たる事は毫末の疑を容れない処である。然り而して之を詳知し、又尠くも詳知すべき地位に在る社団法人東京商工会議所と右の委任状に依る代理人とが法令と定款に背反する不法の決議を敢て為した行動は、是亦上告人等の保障された権利の蹂躪(違憲)と観るべきである。然るに此の点に関し原判決はその理由(判決正本八枚目の裏)に曰く、「更に本件会員総会招集の通知に、被控訴人東京商工会議所の役員の選任に関する件が議題として記載されていなかつたことは前述の通りであるが、右招集の通知にも、議題として「五、その他」と記載されていたことは当事者間に争いがなく、従つて右会員総会においても緊急動議によつて、通知された事項以外の議題が上程付議されることのあるべきを予め告知しているものであるから、他に特段なる事情を認むべき資料のない以上、会員が右会員総会における議決権の行使を代理人に委任するに当つては、その代理権は右招集通知に具体的に明示された議題にのみ局限されるものでなく、広く会員総会において緊急動議として上程されるべきすべての議題に関する議決権の行使についても代理権を付与する趣旨であるものと解すべきである。従つて本件会員総会における議決権の代理行使を以て、代理権の範囲を逸脱したものであるとなす控訴人の所論は採用できない。

されば会員が叙上の如く代理人によつて議決権を行使したことを以て本件会員総会の決議を無效とする控訴人の主張は理由がない」と為し、上告人の請求を排斥したのは違憲不法であり、到底破毀を免れ得ないものである。

E 上告人が原裁判所に於て上告人等(会員)の有する権能中役員選任は若し代理人によつて為す場合は代理人となる者の資格其の他代理権行使に関する定め(甲第一号証定款第十九条に拠る)を規定し、縦し特別決議の場合でも代理人を許容するか否か、即ち定款第十八条の決議でも代理人によつて有效に為し得るか否やを定めた後は兎も角、現在その定めのない被上告人社団法人東京商工会議所の会員総会の決議としてはその本則に則り(御参照、甲第七号証東京弁護士会、甲第八号証日弁協会現日本弁護士協会の各会則)会員の直接選挙に依るべきものと解すべきである。然るに此の点に関し原裁判所は曰く、「しかしながら右定款第十九条の規定は、民法の規定によつて社団法人の社員に認めている代理人による議決権の行使を制限する趣旨のものではなく、会員が代理人によつて議決権を行使することを原則的に認容するとともに、この場合における代理の手続方法等を統一的に劃定するための細則を別に定めるべき旨を規定しているものと解するのが相当である。而して成立に争いのない乙第三号証の一ないし四、原審証人藤岡清則の証言を綜合すると、被控訴人東京商工会議所においては、昭和二十一年設立以来本件会員総会に至るまで、会員総会の招集通知には白紙委任状を同封し、該委任状を代理人に持参させ或は右委任状に記名捺印の上受任者の氏名を白地としたまま、これを送付させる方法で代理人により議決権を行使させることを慣例としてきたことが明らかである。従つて本件会員総会当時においては、右に説明した定款第十九条による細則の制定は未だなかつたけれども、この規定の趣旨を実現する一定の方法が前述の如くすでに慣例として実際に行われていたものであつて、そのため不当な結果を生じたものと認められないから、定款第十九条が未だ效力を生じないものとはいい得ないのであつて本件会員総会において会員が右定款の規定に準拠して代理人により議決権を行使したことは固より適法である」云々と為しこの間の法理を無視したのは到底違法たるを免れず、延いて違憲となすべきである。

F 上告人は原裁判所で本件甲第一号証被上告人社団法人東京商工会議所の定款第十八条が同定款全体との関係から観、又之に甲第七、八号証とを参酌するときは役員選任の重要事項は所謂特別決議事項として会員に保留された直接の議決事項と為すを相当とすべく、故に甲第一号証定款第二十条は右の範囲自ら制限あるものと主張したことに対し原裁判所は之と反対の見解を採り斯種決議権行使に付き世の模範たる甲第七、八号証を充分に検討する事を為さず容易く上告人の右主張を斥けたのは是亦上告人の議決権(憲法の保障する財産権)を蹂躪した次第であり到底違法たるを免れぬものと為すべきである。

以上

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